ASTな日々《製菓分野》 ブログ 本文へジャンプ
木下先生の読書感想文


シリーズ36


王のパティシエ−ストレールが語るお菓子の歴史−

        ピエール・リナエール、フランソワ・デュトゥ、クレール・オーゲル 著
                                     塩谷 祐人 訳    白水社

  


パティシエをめざす人なら一度は訪れておきたいフランスの都“パリ”。
パリ市内2区モントルグイユ通りにある超有名な菓子店“ストレール”。
創業は1730年、約三百年続くパリで最も歴史の古いパティスリーで、創業者のニコラ・ストレール氏は別名“王のパティシエ”と呼ばれていました。
 ストレール氏が後世のために綴った日記をその他の史料と共にまとめたものです。


王のパティシエ”の謂れ

ストレール氏は1706年アルザス地方に生まれ、14才のときに、かつてのポーランド王で、当時アルザスに住んでいたスタニスラス・レシチニスキ公の屋敷の厨房で働きはじめました。

レシチニスキ公はたいへんな美食家であり、ストレール氏の真面目さ、勤勉さを認め、次第に重用するようになりました。

ストレール氏は公の娘がフランスに嫁ぐのを機にベルサイユ宮殿に移り住むこととなり、フランス国王ルイ15世の料理番となります。そして“王のパティシエ”として多忙を極めます。その五年後、宮廷を離れ、パリ市内のモントルグイユ通りに独立を果たしました。

ストレール氏の日記

これらの日記は17888月にはじまり、翌年の5月、つまりフランス革命が起こる2カ月前まで綴られています。日記でも少し触れられていますが、この当時フランスは 非常に不安定で人々の不満も渦巻いており、作物の不作も続き、国家破綻の危機でも ありました。

その中でもストレール氏は平和を願い、スイーツの力で民衆の気鬱な気持ちを払いのけるため尽力しました。新しいお菓子を考え出したり、伝統菓子であった数々のケーキを改良し、味のレベルを一層高めました。

それ以来“愛の泉”という名前の“ピュイ・ダムール”や“千夜一夜物語”から命名された“アリ‐ババ”などは、菓子店“ストレール”のスペシャリテとなっています。